
先日、パリの11区にあるイザベルさんのアトリエを友人たちと訪ねた。日本の染色技法である絞り染めをはじめ、インドやラオス、カンボジアなど東アジア、チュニジア、カナダなど世界各地を訪れて染色を学んだというイザベルさんは、まっさらな生地に染色を施して、ショールやアクセサリー小物など身につけるものから、演劇やオペラの舞台衣装、さらに空間全体を使ったオブジェや舞台装置まで、幅広い作品づくりを行っている。和田エミさんとの出会いも大きかったそう。イザベルさんのテキスタイルは、その素敵な色合いもさることながら、プリーツのような立体感のあるテクスチュアが魅力のひとつ。

光沢のある素材
matières luisantes

去年パリで行われた濱口恵さんの展示会のとき、
濱口さんのアクセサリーを腕にまとって喜ぶイザベルさん
ショールはもちろんご自身の作品

光の差し込む作業場
アトリエは日本式の一階にあって、パリには珍しく通りに面したドアから直接入ることができる。友人たちと一緒に約束して訪ねたのだけれど、どうやら私が一番乗りで、イザベルさんにアトリエを案内してもらう。サロン的な空間を通り抜けると、その先に作業場がある。中庭に通じる作業場は緑も見えて気持ちのいい空間。

染色用の大きなバケツ
seaux à eau

この大きな竃でぐつぐつと煮るのだろう。
なぜか昔の日本のお米炊きの竃を思い出した。

重ねられた琺瑯の桶がいいかんじ

これまで試作したものの切れ端

この道具棚は玄関入ってすぐにある
きれいに整理整頓されている

放射状にプリーツが入っていて、
それにうまくマッチしたデザイン

友人たちは次から次へと作品を取り出して、あれこれ身にまとってファッションショーを楽しんでいた。私にはまだ早いというか、もう少し貫禄が出てこないとショールの存在感に負けてしまうので、そのときが来るのを待とう。イザベルさんはこれまで手がけた演劇の舞台装置で制作した布やカタログなどを見せて下さった。そしていまは来シーズンのシャンゼリゼ劇場で上演されるある演目用の衣装を制作中とのこと。そのラフを見せて頂いた。小さいころから母親に連れられて、主に陶芸の作家たちのアトリエを訪れたり、大きな登り窯で行われる窯焚きに同行することが多かったので、ものづくりの現場=アトリエを訪れると、いまでもわくわくする。かつて、今は亡き陶芸作家のアトリエを訪れるたびに、ひんやりした土を与えてもらって、ひとり勝手にオブジェを作ると、次に訪れたときに釉掛けして焼いておいてくれたのは、いい思い出だ。ギャラリーの個展やブティックに並べられた作品を眺めるのとは違って、作品の生まれる場所を共有すると、作品がぐっと身近なものになる。イザベルさんのホームページをぜひご覧ください。