音楽以外の批評ものを久しぶりに読みたいなと思っていたら、ちょうど岡崎乾二郎『ルネサンス 経験の条件』の文庫版が出たばかりと知ってさっそく購入。最初の章がアンリ・マティス。あの礼拝堂の話から始まる。マティスがステンドグラスから壁画のみならず、礼拝堂の設計まですべてを手がけた南仏のヴァンスにあるロザリオ礼拝堂には、2010年に一度だけ訪れたことがある。
ニースからバスに揺られて一時間ほど。それから少し坂道を上ると、一見すると普通の家のような背の低い青い瓦屋根の家が見えてくる。白い空間にステンドグラスから差し込む柔らかい日差し。あちこちの街で数多くの教会に足を踏み入れたけれど、そびえたつ威圧感も、石づくりの堅牢さも、教会特有の薄暗さもなく、明るく静かな空間が広がっている。その前にヴァラウリスというカンヌから数駅にある小さな街で、ピカソの壁画『戦争と平和』を観ていたので、よけいにそのコントラストが際立った(『ゲルニカ』に比べてあまり知られていないこの壁画についてはこちら)。
礼拝堂内の撮影は一切禁止で、時間の許す限り礼拝堂の椅子に座って過ごしたのが懐かしい。礼拝堂の後方にある壁画『十字架の道行』の意味や、大戦後焼け落ちた礼拝堂の再建に携わったマティスの思いなど、これから本を読み進めるのが楽しみ。(写真は2010年夏撮影)
礼拝堂へ向かう道すがら
Avenue Henri Matisse
入口が見えてくる





