Le refuge (2010)

réalisé par François Ozon

 

今年に入ってから映画を観るペースが早い。フランソワ・オゾンの新作《ル・ルフュージュ(隠れ家)》をオデオンの裏通りの古いシネマで観た。ドラッグの虜になった若いカップル。相方は中毒で亡くなり、生き残った女性(イザベル・カレ)は自分が身ごもっていることを知る。迷いながらも産むことを決意して、出産までの間、亡くなった彼の両親が所有するスペイン国境近い南仏バスク地方の海辺の別荘で過ごす。そこへ彼の兄(養子なので血のつながりはない)がわずか数日間だけ滞在しにやってくる。この別荘は、映画のタイトルが意味するように、父親のいない子供を身ごもった女性の「隠れ家、避難所」としての意味をもっている。

映画を見る前このストーリーを読んで、正直あまり観たいと思わなかった。でも実際に観てみると、印象は変わった。南仏の夏の陽射しのなかで穏やかに出産を待つ彼女の姿が兄との交流を交えて淡々と描かれ、ありがちな面倒なもめごともなければ、彼女自身が自暴自棄になることもない。そのことがかえって、彼の死とその子供という2つの現実を突きつけられた女性の、心の奥深くに抱え込んだ傷を忍ばせる。オゾンはこの重いテーマを悲観的に描くことなく、距離をもった、それでいて客観的でもない、人間の素のままの気持ちに寄り添うように描こうとしたのが伝わってくる。いい温度をもった映画で、観終わったあともいい余韻だった。それから別荘に遊びに来た兄ポールがピアノを弾きながら歌うシャンソンがとてもよかった。どうもこのシャンソンは兄役のルイ=ロナン・ショワジー(若いころのアラン・ドロンを彷彿とさせる、ローマの彫刻のような顔立ち)が作ったオリジナルらしい。ちなみにこの歌は仏のiTunesで購入できます。

 

 

 

イザベル・カレ