ボン・スクール・ノートル・ダム・バジリカ教会

 

 

サン・ブリウからTGVに乗り換えて12時20分ごろガンガン Guingampに到着。駅のロータリーに行くとちらほら迎えの車が来ていたけれど、Misaさんが乗ったらしい車はどこにも見当たらない。「12時半ごろガンガンの駅で」というアバウトなランデヴーだったので、遅れることもあるだろうとあまり気にせず待つことに。ところが、その後30分経ってもMisaさんは現れなかった。これはもしかして何らかのすれ違いが生じてるかもという気がうすうすしてきたところで、サン・ブリウでサンドウィッチを買えばよかったなと後悔。ガンガンの駅は小さくてキオスクもパン屋さんもない。仕方なく自動販売機の数少ない選択肢から、ブルターニュのお菓子シリーズのひとつであるマドレーヌの袋入りを1、2ユーロで買う。もぐもぐ食べながら途方に暮れる。このままもし迎えに来なかったら、ガンガンの街を少し歩いて3時過ぎにあるレンヌ行きで帰るしかないかなと考えながら、Misaさんの携帯に三度目のコール。ようやく電話が通じて、「いまどちらですか?」と聞くと、「は・・・?どうしたんですか?」とのお答え。「今ガンガンの駅にいるのですが」というと、「え、え〜〜〜!!今日でしたっけ?」とMisaさん。日にちを一日間違えて、明日のつもりだったらしい。道理で迎えに来ないわけだ。パンポル Paimpolという北部の港町に滞在しているMisaさんは、「ここからガンガンまでは1時間半くらいかかるので、黒マリア像のあるノートル・ダム教会の前で待ち合わせましょう」という。いったいその教会がどこにあるのか知らなかったけれど、電話代も気になるので(日本の携帯電話にかけるのは高い)すぐに電話を切った。マドレーヌをぱくついただけでは物足りないし、パン屋さんをまず見つけようと決めて駅を出る。

 

 

フランスの田舎にある国鉄駅の周りはだいたい閑散としていて何もない。潰れたのかお休みなのかわからないようなお店ばかり。でも一軒だけ人の出入りのあるお店を見つける。手作りの焼きたてピッツァのお店(持ち帰り専門)だった。ピース売りはしていないようだったので、ムニュにあったパニーニ・プーレを注文。焼き上がるのを待つ間にトイレを貸して下さいと頼むと、トイレの前にオーブンがあっていま高温なので無理と断られる。フロマージュとトマトソースの入った熱々のパニーニを頬張りながら、「Centre ville(市内へ)」の指示を頼りに街を歩く。10分くらいたつとちらほら人の姿も見えはじめて、街らしい雰囲気になってきた。町役場 Mairieのあるロータリーに出ると、ようやく街の地図の看板を発見。ノートル・ダム教会を探すと、もうすぐ目と鼻の先だ。小さい街でよかった。大きな教会はたいてい街の中心に建っているので、迷ったらとりあえず教会へ行くのがいいとよく言われるけれど、まったくその通り。これが街の中心かと思うような小さな商店街の通りを歩いて行くと、左手に教会らしき建造物が見えてきた。

 

 

 

 

まるで歌っているようなガルグイユ

 

 

ゴシック建築の教会によくある雨水を流すためのガルグイユ Gargouilleは、ふつう怪獣の形をしているけれど、ブルターニュ地方のシャペルや教会のガルグイユは人のさまざまな顔になっていて面白い。シャペルごとにそれぞれ個性があって、ひとつひとつ全て違う。こうした図像だけを収録した写真集もあるらしい。

 

 

 

入口

 

 

入口からすぐに黒マリア像 Vierge noireが見える。今回の旅は何の下調べもしていなかったけれど、レンヌのツーリスムでMisaさんと一緒に受け取ったコート・ダルモール県の地図を行きの電車で眺めていたら、ガンガンの教会に黒マリア像があると書いてあった。黒マリア像を見るのは今回が初めてではない。2003年3月に南仏をユーレールパスで周ったとき、クレルモン・フェラン、ル・ピュイ・アンヴレー、トゥールーズの教会で黒マリア像を見たのを覚えている。特に印象深かったのは、地下の礼拝堂の暗がりに置かれていたクレルモン・フェランの黒マリア像。黒いマリア像にまとわれた純白のヴェールが異様な光沢を放って、少しおどろおどろしいような雰囲気だった。そして今回また黒マリア像を見ることになるとは思わなかった。南仏に限らず地方の教会には黒マリア像があるのかもしれない。ガンガンで見た黒マリア像は、純白のヴェールに紺色の上衣を羽織っていた。思いのほかマリアの顔がぽちゃっとしていて親しみが湧く。マリアが抱いているイエスも可愛らしい。写真を撮りながらベンチに腰掛けて眺めていると、次々にガンガンに住むお年寄りが立ち寄って祈りを捧げていく。宗教的な信仰の意味もあるのだろうけれど、むしろ生活や日々の守り神としてマリア像が大切にされていることが窺えた。

 

 

 

黒マリア像

 

 

 

頬がふっくらしている

 

 

 

マリア像が置かれた一室のステンドグラス

 

 

 

マリア像の右手奥にある扉を開けると、礼拝堂がある。

 

 

 

一瞬差し込んだ光がステンドグラスを映し出す

 

 

 

キリストの一生を描いた図

 

 

 

礼拝堂のなかに置かれた黒マリア像とイエスは、入口のマリア像と違って端正で奇麗な顔立ちのマリアだった。純白のレースと下に飾られた白いお花がよく合っている。

 

 

 

礼拝堂の出入り口に描かれた図像

 

 

 

に〜っと口を開く戯けたガルグイユ

 

 

 

ガンガンの街並

 

 

結局、この教会でゆっくり過ごしていたらあっという間に2時頃になっていた。気温も低く寒かったのでトイレを済ませがてらカフェに入ってMisaさんを待つことにする。そのカフェのバールは地元の人でけっこう賑わっていて、どうもサッカーなどスポーツ観戦のときに人が集まるお店のようだった。ショコラ・ショを注文。1、3ユーロで驚く。地方はやっぱり安い。朝出てからずっと我慢していたトイレをようやく済ませて安堵する。温かいショコラを飲みながらわいわいと談笑する地元の人々を眺めるのは、いい時間だった。