私が住んでいるレジデンスは、18世紀に建てられた石造りの古い建物。もとは療養所として使われていたと管理人のイザベルに聞いて、なるほどと思った。石造りの建物は夏は暑いそうだけれど、作りがしっかりしているぶん隣の物音はほとんど聞こえなくて、周りが気にならない。一階の管理人受付にはブロンドの素敵なマダム・イザベルと無口だけど優しいマドモワゼル・シンツィアの二人がいる。買い物から夕方帰ってくるとかならず、正面入り口前のホールで彼女たちがテーブルを広げてティータイムをしている。「何か飲む?」と言われて私もそこに参加。そのうちレジデンスの他の人が帰って来たり、ぶらっと来て少しおしゃべりして部屋に戻る人がいたり、なかなかおもしろい。こういう感じで自由に人の流れがあるのは、このレジデンスの良さだと思う。
一階の部屋は大きな窓から庭を眺められる
レンヌに戻った9月最初の週は、それなりにいろいろな出来事があった。まずひとつは友人ができたこと。電気工学専攻のドクター学生で、いま博士論文を執筆中。今年12月には提出するらしい。彼女はカナダとシンガポールで生活したことがあるそうで、「知らない街に一人でいる大変さがわかるから」と、バーベキューに誘ってくれたり、生活用品の買い出しに車でカルフールやIKEAによく似たフランスの新進メーカーのお店に連れて行ってくれたり、いろいろなことを教えてくれる。パリとは違ってここレンヌにはほとんど日本人の学生がいないので(というよりアジア人が本当に少ない)、「異邦人」だと感じる感覚が確かに強い。「フランス人の名前にはそれぞれ意味があるの?」と聞くと、彼女の名前は「黄金の光」を意味すると教えてくれた。彼女はとにかく明るくてレジデンスでも誰とでも仲良くしているので、ぴったりの名前だと思うと伝えると、うれしそうだった。これまでの海外生活で、日本人の知り合いも多いという彼女は、「とんかつ」など和食もけっこう食べたことがあるらしかった。バーベキューのあとデザートを頂きにお邪魔した彼女のステュディオは、私の部屋より少し広いタイプということもあって、収納も多く綺麗に整頓されていた。
レジデンス前の庭でバーベキュー
