今年2月フランスでピエール・シェフェール著『ミュジック・コンクレート』の新装版(PUFのページ)が刊行されました。3月初めに出版社からその知らせを受けた時は、正直とても驚きました。 以前の記事でも触れましたが、これまでに同書は第一版(1967)と第二版(1973)が刊行され、その後は絶版になっていました。第二版から実に47年ぶりに今回の新装版が出たことになります。その理由ははっきりわかりませんが、今年はシェフェールの生誕110年に当たることも関係しているかもしれません。
新装版と書いたように、今回はこれまでの文庫クセジュのシリーズとしてではなく、PUFとHumensisの共同出版として大判で刊行されました。新装版のテクストは第二版に基づいていますが、二つの旧版との違いは、参考文献の改訂と、当時GRMのディレクターだった作曲家フランソワ・ベイル氏による未収録の「あとがき」(1990)の追加です。現在、度々の中断を挟みながら訳稿の改訂を進めている日本語版にも、上述した二点を反映させる予定です。ベイルによる「あとがき」は、回顧的な視点も交えながら同書の位置を跡づけるもので重要な意味を持っています。
日本語版はこれまで初版と第二版(改訂版)のテクストの変更(削除と加筆)を全て照らしあわせて、第二版ではカットされた部分も含めてできるだけ両者を統合させる形で作業を進めています。こうしたなかで訳者の作業の遅れも相まって、日本語版にこの「あとがき」を含めることができるのは結果的に(?)良かったとポジティヴに捉えて、コツコツ作業を進めて刊行にこぎ着けたいと思います。

